Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

空中大ナイアガラ

 熱海の売り物のひとつが、花火。年間10回くらい開催され、30~40分ほど立て続けに夜空を彩る多様な花火が打ち上げられる。花火といえば通常夏だが、ここでは春先から打ち上げがあり年末にも3度ほど行われる。忘年会客向けのサービスなのだろう。熱海港の桟橋周辺4~5箇所から打ち上げされるのだが、僕の住んでいるマンションからは200mほどしか離れていない。

 

 熱海に来るまで、花火というのは遠くで上がり、華が咲いた後しばらくして音が聞こえてくるものだった。子供のころ何度か長良川の花火を、学生になってから庄内川の花火を見に出かけた記憶はあって、その時は光というよりは音に感動したものだった。花火会場というのはとても込み合うもので、往復の人込みや渋滞で疲れてしまい音の感動のことは忘れてしまい、花火は遠くから光を愛でるものになってしまっていた。

 

 熱海に来て改めて思ったのは、「やっぱり花火は音」だということ。特に最大級の八尺玉が炸裂するときは、見上げた空に僕に向かって降り注いでくるような巨大な華が咲くだけでなく、轟音によって足元から建物が震えそうな気がする。まさに「腹の底に響く」のである。

 

 20年近く熱海の花火を見ているが、近年特に工夫が凝らされているように思う。熱海の景気がどん底だったときにも旅館組合や商店街の寄付なのか続けてもらった、ノウハウの積み重ねがあるのだろうか。いろいろな仕掛け花火が登場し、数発の単発八尺玉が打ち上げられるとそろそろフィナーレ。一瞬打ち上げが止まりその後「空中大ナイアガラ」へと続く。

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 フィナーレで使われるのは、すべて白色の打ち上げ花火。これをすべての打ち上げ地点から低いものから順に上げていき、最後は数発の大玉を上空で炸裂させる仕掛けである。これを熱海の中心市街地から見ると、空が真っ白になってしまうように見え、まるでナイアガラの滝が空中に出現したように見えるわけだ。

 

 当然この時の「音」もすさまじく、運悪く体調を崩しているときなどはうるさく思ってしまうのだが、多くの観光客や地元の人が喜んで見ているかと思うと文句も言えない。初めてこれを見た時から徐々に感動は薄れてきてそんな不遜なことを考えてしまうのだが、今年は心改めて謙虚に拝見することにしましょう。