Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

統合型リゾート法制整備の陰で

 ある業界団体の政策研究会に参加することになったのは、もう15年近く前だった。もともと、東京アクアライン関西国際空港のような巨大プロジェクトを立案・推進してきたこの団体、さらに政治的関与を強めようと日本の社会問題・国際関係まで含んだ議論をするシンクタンクを目指しての研究会設置だった。

 

 デジタル屋も一人入れておこうということで30余人の中にいれてもらった僕だったが、その後100余人にまで膨らむこの会合で教えられたことは多くいい経験になった。当初の30余人の中に財閥系シンクタンクの人がいて、事務局の紹介によるとその人の推進テーマは「統合型リゾート(IR)」だとのこと。何のことかわからなかったが、隣の人が「カジノだよ」と教えてくれた。

 

 僕自身はギャンブルには興味がなく、学生時代に仲間内の賭け麻雀をしたくらい。ほかには20歳代のころ、出張先のラスベガスでスロットマシンをした記憶が一度ある。21世紀になって、やはり出張先のソウルで外国人専用のカジノに誘われたこともあった。その時は焼き肉の方が魅力的で、そっちに行ってしまった。

 

 IRは議員連盟もできていて、長い時間はかかったものの2016年には基本法が成立、今は施行令・施行規則等が議論されていると聞く。当然市民からはギャンブル依存症対策が求められるから、そのあおりを食って危機に瀕しているのがパチンコ業界だとする記事があった。  https://hbol.jp/189372

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 射幸心を煽るような機器は撤去し、もっとマイルドなものに入れ替えるように1年前に「遊技機規則」が改訂されたものの、そのマイルドな機械への切り替えが進まないという記事だ。マイルドにし過ぎて客離れを恐れる運営側と機器の認証機関の間で折り合いがつかないらしい。まだ1,000万人のファンがいる業界を殺してしまいかねないと、記事は懸念を表明している。

 

 ただ考えるとパチンコというのは不思議なもので、法に定める「公営競技」には入っていない。競輪・競馬・オートレース・ボートレース・宝くじ・サッカーくじは政府が認めたものでそれ以外のギャンブルは「賭博法」で規制されているはずだ。パチンコは景品を買い取る別事業者がいることで、システムとしてはギャンブルだが個々の事業体としてはギャンブルではない奇怪な業界である。僕としては「賭博法」の抜け穴のような存在なのだから、徐々にギャンブル性を抑えてモデレートに縮小していくことを望みます。