Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

キャッシュレス化の後押しか?(前編)

 20年ぶりに日本銀行券(お札のこと)が改訂されることになった。これは、関連事業者にとっては特需である。銀行やコンビニ等が保有する現金自動預払機(通称:ATM)は日本に15万台以上はある。お札を扱える自動機、券売機の数は計り知れない。これらに、新紙幣対応の改造を施さなくてはならないからだ。

 

 もちろん新紙幣だけ扱えればいいわけではない。過去のお札もこれまで同様扱えなかったら、日本銀行券の信用は地に落ちてしまう。新紙幣に交換してもらうために、銀行に市民が殺到するだろう。俗に「タンス預金」と言って現金に愛着・執着を持つ人や銀行等を信用しない人、低金利で預けても仕方ないと思う人もいるだろうから、個人に所蔵されている現金も増えてきていると思う。

 これまでも新札が出るとこのような特需はあった。今回も新札切り替えの報道がったため、早速専業メーカーのグローリー社などの株価が急騰しているという。しかしちょっと待っていただきたい。政府はキャッシュレス化を進めてきたのではないか?わざわざ消費税UPの特例としてキャッシュレス決済に特典を設けるなどしていたはずだ。うがって考えると、今回の新札切り替え、キャッシュレス化推進の一環なのかもしれない。

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 日本の紙幣技術が世界一だったことは確かだ。しかし、デジタライゼーションの波でいろいろな技術が根底からくつがえされかねない状況で、この分野(紙幣の偽造防止)だけが無縁とは思えない。また日本銀行券は世界でもまれに見る「一般に流通している高額紙幣」である。1万円とは約$90、こんな高額紙幣は米国の市中では使おうとすると疑われてしまう。欧州だって約€75、まあこちらは€50までは使ったことはあるが。

 

 このような内外の事情から改訂の必要性が出てきたのは確かかもしれないのだが、これを契機にお札を使わない文化に切り替えることを政府は意図しているのではないかと思った。

 

<続く>