Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ゴラン高原

 トランプ先生のイスラエル現政権に対するサービスは、度が過ぎているようにも思う。エルサレムイスラエルの首都と認定し、これまでの政権では考えもしなかった大使館をエルサレムに移してしまった。昨年一度だけイスラエルを訪問したことがあるが、地中海沿岸の伝統あるリゾートにも見えるテルアビブと比べて、エルサレムはずいぶん近代化された街だと思った。

 

 山岳地なので市内に傾斜はあるのだが、それでもトラムが走っていて一瞬アメリ東海岸に来たのかと錯覚したくらいだ。それでもすぐそこにベツレヘムへの壁があり、警備は厳重だ。パレスチナの人たちは、いつかこの街に戻ってくることを望んでいる。「嘆きの壁」にも行ってみたが、いろいろな宗教の人が入り混じって礼拝していたのを覚えている。

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  アメリカ大使館のエルサレム移転に続いて、今度はゴラン高原イスラエルの領有を認めるとトランプ先生が表明したのは先月だったか、とんでもないことを言い出したものだと思った。4次にわたる「Arab Israel War」の結果、シナイ半島と同様激戦地となったゴラン高原。今はイスラエルが実効支配している。相手のシリアは泥沼の内戦中、文句をいう余裕がないのは確かだが。

 

 「Arab Israel War」は、同名のアバロンヒル社のボードゲームで何度か戦った。ソ連の新鋭戦車T-62が、なぜか中古のM-4シャーマン改造戦車に勝てない。イスラエル軍の士気や練度の高さがモノを言ったのを覚えている。ゴラン高原自身はさほど豊かな土地ではないようだが、「アラブの大海にうかぶ国イスラエル」としては少しでも緩衝地帯があったほうがいい。もちろんそこはシリアの人たちのふるさとでもある。

 

 救いのない話なのだが、さほどにトランプ先生がネタニアフ首相の政党「リクード」に肩入れしても、予定されているイスラエルの総選挙では中道政党「青と白」に押され気味なのだという。全世界的に右派(それも極右)が発言力を増す傾向にあるのだが、ずっと戦い続けてきた国イスラエルではそれを通り越して、モデレートな民族融和政策が支持されつつあるのかもしれない。