Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

政策担当者への伝言

デジタル殺人への備え

マイナンバーカードの普及率が50%になったとの報道があった。僕はかなり初期から持っていて、公的機関での身分証明や確定申告に使っている。会社を辞めて社員証がなくなったから、霞ヶ関の合同庁舎に入るときなどには必須アイテム。それでも先日ある企業の…

議論を「走行距離課税」に矮小化せず

政府がお金を使う方の「政策」は官邸主導だが、お金を集める方の「税」については党(自民党)主導である。そういう意味で、普段目立たない自民党税調の宮沢委員長は、総理と同等の力を持っているとも言えよう。今回の補正を含めた放漫財政で、今年度の支出…

インフラメンテの現場、桜川市(5/終)

参加してくれた3自治体の概況は、 ・筑西市 人口約10万人、市の土木職員70名 ・桜川市 人口約3.9万人、市の土木職員15名 ・益子町 人口約2.2万人、町の土木職員5名 となっている。いずれも技術職の採用・育成には苦心していて、筑西市以外に技術者はいない…

インフラメンテの現場、桜川市(4)

午後も現場の見学。橋梁メンテナンスの作業を、タブレット上のアプリを使って合理化したというデモを見せてもらった。橋梁の下部に潜り込んで、ひび割れや剥離、鉄骨の露出を見つけ記録する作業は、結構大変。しかもそのデータを持ち帰って、資料にまとめる…

インフラメンテの現場、桜川市(3)

掘削中のトンネルの先端まで行くという、滅多にない経験をさせてもらった。掘削面をコンクリートを吹き付けた「覆工」をしていても、地下水が噴き出してくる。ところどころ水溜まりもあって、圧力を感じていた。面白かったのだが、さすがにバスがトンネルを…

インフラメンテの現場、桜川市(2)

つくばエクスプレス研究学園駅から北上すること40分あまり、筑波山を右手に見る比較的広い盆地に出た。刈り取りの時期を迎えた水田が広がり、集落が点在している。途中JR水戸線の踏切を渡り、奇跡的に列車を見ることができた。目の前には大きな山塊(上曽峠…

北朝鮮の先制攻撃を受けたら

連日のICBM発射を含む「示威行動」である。米韓合同演習に怒ったのか、それとも恐れたのか、北朝鮮がミサイルや砲弾を「大量消費」している。米国の中間選挙前に核実験をするのでは、との憶測も流れている。ウクライナ情勢や台湾海峡での緊張の高まりがあっ…

政府機関のクラウド利用(後編)

政府機関がクラウドサービスを利用するにあたっては、中央政府が定めた「ガバメント・クラウド」を使うのが原則だが、全サービスをこれに乗っけるのは実質的に難しい。もっと気軽に民間サービスを利用したいという場合には、利用候補を示してもらえないと現…

政府機関のクラウド利用(前編)

自前で全てのITシステムを整備するのは、非効率であることはもちろんだが、徐々に難しくなっていることは確かだ。世の中には様々なクラウドサービスが普及していて、普通にPCを使ってブログなど書いている僕だって、バックグラウンドで<One Drive>というク…

"Cyber Power Index"のスタンス

一昨日、日本のサイバーセキュリティ能力について「卑下せず、誇張せず」の姿勢で経団連が情報発信をしていることを紹介した。ところが、昨日紹介したイベントの打ち合わせでは「ハーバード大のシンクタンクが、日本のサイバーセキュリティ能力を低く評価し…

特定重要物資としてのクラウド

経済安全保障推進法自体は成立しているが、具体的に何がどう制約されるのか、企業は何をすることになるのかなどについては、まだ分からない。先日あるイベントの打ち合わせで、経済安保のセッションを担当する外務省の人から、サプライチェーン・セキュリテ…

卑下せず、誇張せず

先日、日本のサイバーセキュリティ能力が低いとそこかしこで言われていることについてコメントした。国家としてのインテリジェンス能力や防衛力の課題について語られたものが、産業界の話にすり替わっていたものと思われる。 日本のサイバーセキュリティ能力…

期限を切るのはいいことだけど

「空気を読まない突破力が魅力」と評した人もいた河野デジタル大臣。就任以来、マイナンバーからみのいくつかの動きがあった。普及率が50%そこそこであることから、都道府県別の普及率を公表してみたり、普及率で地方交付税交付金を調整するなどの噂も出て…

中国のインテリジェンス戦略

サイバーセキュリティ業界も、金銭狙いのデジタル詐欺や、ちょっと規模の大きなランサムウェア攻撃への対応だけではなく、国家間の安全保障からみの議論が徐々に増えてきた。僕はシミュレーションゲームなどで戦史を学んだ程度だから、一般の人よりは詳しい…

民間シンクタンクの活用を

「COVID-19」の日常化にともなって、働き方改革(主にテレワーク)の潮流は2極化しているようだ。僕の付き合っている企業の多くは、テレワーク傾向は後戻りしないで都心のオフィス面積を減らしている。しかし出社を原則とする「反動」の企業も少なくない。…

ランサムウェアへの対処

日本では、ロシア発のDDoS攻撃で政府機関のサイトが使えなくなるなどの話題があるくらいなのだが、ウクライナ紛争や台湾海峡の緊張などでは、サイバー攻撃が日常化している。ただのいやがらせから、本格的な諜報、軍事行動までバラエティ豊かな内容である。…

日本のサイバーセキュリティ能力

最近、複数のルートから「日本のサイバーセキュリティ能力はひどく低いんだってね。企業は何しているの」という話を聞くようになった。そのうちのいくつかはルーツをたどることができて、春にある米国の識者が「日本のIntelligence能力が低く、サイバーセキ…

サイバー犯罪捜査のためのガイド

この日は、しばらく前にもやってきた二重橋近くの東京商工会議所ビルでのイベントに足を運んだ。前回は日本商工会さんとの打ち合わせだったのだが、今回はそこの会議室が会場というだけ。主催は(一社)サイバー犯罪捜査・調査ナレッジフォーラム(CIKF)と…

米国首席公使公邸でのパーティ

ある日突然、米国大使館からのパーティ案内メールが届いた。この夏は大使館でも異動の時期だったようで、何人かの新任者を紹介したいとある。場所は麻布永坂町、地図を見ると最寄駅は麻布十番と六本木一丁目。正直、行ったことがないところ。なぜ呼ばれたか…

中国ではTwitterは禁止だが・・・

先日、久しぶりに経団連会館に行った。4階の会議室で行われるサイバーセキュリティ関係の会合を覗くのが目的だったが、2階では何か大きな会合がある様子。見ると「日中国交正常化50周年記念シンポジウム」とあった。そう、もう50年も経つのかという思いと…

機密性・完全性・可用性(後編)

ロシアの侵攻にあたってのサイバー攻撃については、慶應大学の手塚教授や土屋教授が日経ビジネスや日経本紙でコメントしている。 <手塚教授> 2015~16年に大規模な停電が発生したのはロシアのサイバー攻撃によるもの。これを教訓に、電力網をロシア仕様か…

機密性・完全性・可用性(前編)

情報セキュリティの3要素と言えば「機密性・完全性・可用性」が挙げられる。頭文字をとってCIAと略する人もいる。 ◆機密性(Confidentiality)アクセス権限を持つ者だけがアクセスできる ◆完全性(Integrity)情報が最新で正確、データが保護されている ◆可…

もう製造業じゃないのに・・・

何度か自動車産業のことをとりあげて、もうそろそろ製造業から脱皮すべきだよねと申し上げてきた。ハイブリッド車では残っていた内燃機関が無くなり、電気自動車の時代になれば部品点数はぐっと少なくなり、特殊な技術も不要になるものもあるからだ。 ああ、…

何をもって<国産クラウド>とする?

経済安全保障推進法は成立した。4つの基本項目(重要物資の供給・基幹インフラの安定・先端/重要技術の開発・特許の非公開)は挙げられている。今は、その具体的な影響範囲や運用法の細部の議論に論点が移っている。今月4日付けの<日経ビジネス>は正面…

デジタル自治体とデジタル公共サービス

デジタル庁が発足して10ヵ月が過ぎた。接待問題などの不祥事もあり、初代デジタル監の辞任もあり、難航しているのかもしれないが、岸田政権の安定の陰でいい意味でも悪い意味でも注目されていない。もちろん行政のDXを担当するデジタル庁としては、1年くら…

総務省消防庁だから?でなければ?

今月通信大手の1社K社のサービスが故障し、最大86時間障害が続いた。僕らが危惧していた「重要インフラへのサイバー攻撃」ではなかったが、社会混乱を引き起こしたのは確かだ。本件は、監督官庁である総務省が「重大事故」に認定する可能性もあるし、次官…

経営責任と補償

福島第一原子力発電所の事故について、東京電力の旧経営陣に対する株主代表訴訟の一審は、5人の被告中4人に有罪判決を下した。総額22兆円の補償を求めた訴訟だったが、判決は13兆円だった。これは被告が株主に払えとか、被災者に払えと言う命令ではなく、…

診療所のガバナンス問題

先月下旬、日経紙が「医療再建」という特集記事を掲載した。初日の見出しは「開業医の統治不全、風穴を」だった。冒頭例示されていたのが、夜間の救急救命医療に開業医の協力が得られない問題。中核病院のこの指摘に対し、開業医側は「夜勤をしたくないから…

破産者MAPによる恐喝

「COVID-19」禍で生活が困窮した人のニュースは多い。政府は特別定額給付金(10万円)を配布し、居酒屋などの事業者には助成金、個人にも無利子貸し付け金を用意するなどした。この個人貸し付け金、そろそろ返済が求められる頃になっている。無利子(&無担…

サイバー・ジュネーブ条約論

ロシアはまだ「特別軍事作瀬」だとして、今回のウクライナ侵攻を「戦争」とは呼んでいない。しかし実質的には戦争状態だし、非人道的なことは禁止されているはずだ。捕虜や傷病兵、民間人を保護するために<ジュネーブ条約>が制定されている。正確には<ジ…