Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際会議

デジタル課税 vs. 関税

今年の「ダボス会議」は環境問題が主要な争点と報道されている。僕が聞いたところでは、デジタル分野では1にサイバーセキュリティ、2にブロックチェーンが話題になるらしい。すでにAI(人工知能)のことは言いつくされたのか、プライオリティが下がってい…

日欧ICT戦略ワークショップ(後編)

次のテーマはICTの目玉政策、欧州側からは「Digital Single Market」の説明があった。欧州(EU)は関税などは撤廃して統一市場になっているのだが、各国のデジタルデータは統一されておらず、書き換えや変換が必要である。例えばアイルランドからポーランド…

日欧ICT戦略ワークショップ(前編)

この週は国際会議が目白押しである。今日は総務省主催の「日欧ICT戦略ワークショップ」という国際会議が神保町の会議室で行われたので参加した。この会議、7年ほど続いているという。日欧の政府当局(日本は総務省欧州はDG-Connect)が主催で、年1〜2回場…

慶應三田東館にて

今週は国際会議が目白押し、例によって英語脳ならぬ英語悩の出番である。その皮切りが、慶應三田キャンパスで開催される「EU-Japan Cyber Workshop」である。サイバー空間に国境はないし、ヨーロッパと日本は遠く離れているといってもその距離はリスクを隔て…

パリのOECD本部

冬至ころのパリの朝は遅い。朝8時にホテルを出たのだが、まだ未明。気温は零下2度とスマホが教えてくれる。ポルト・マイヨ駅からF・D・ルーズベルト駅で乗り換え、ラ・ミュエット駅まで約20分かかった。OECDは経済協力開発機構と訳されているが、もともと…

台湾工業技術研究院がやってきた

台湾でサイバーセキュリティ熱が高まっているが、そのきっかけは昨年8月の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)がサイバー攻撃で3日間の操業停止に追い込まれた事件である。損害額は、約190億円に上ったという。攻撃は、急激に関係が悪化している海峡の対岸…

ちょっと物騒な国際会議

先日NATO軍の支援を受けて行われたサイバーセキュリティ国際会議「CYDEF2019」の模様を紹介したが、今度は民間中心での類似の会議があった。場所は「セルリアン東急ホテル」の地下ボールルームだ。 大手の企業がスポンサーに名を連ねていて資金が潤沢なのだ…

広島の世界経済人会議(後編)

ランチタイムを挟んで午後のセッション、サイバーセキュリティをテーマにしたものだがテーマ設定者の意図は「民主主義の危機」にあるようだ。ここが金銭詐取や通信やエネルギーへの妨害、軍事行動などを論じている他の会議とは異なる。 聴衆は70~80名くらい…

広島の世界経済人会議(前編)

広島空港に着いたのは、定刻通りの940。ただこの空港は、都市の中心部まで相当遠いことで有名な空港だ。リムジンバスを待つ長い列に並びしばらく待って乗り込んだが、満員で僕の隣には恐ろしく太った白人の男が乗り込んできた。スマホで見ていると JR芸備線…

Gentlemen's Club

先月の英国・米国出張では、初めての経験がいくつかあったが、そのうちの一つが「Gentlemen's Club」なるものに足を踏み入れたこと。いわゆる「社交界」である。英国ではロンドン滞在初日のランチ会合が、そういう場所。英国政府庁舎に近い古式ゆかしいビル…

カフェレストラン「ローズテリア」

「CYDEF2019」はNATO軍の支援で行われたのだが、運営そのものは手作り感が強かった。現職自衛官やOBの人たちが主体だったようで、イベントのプロを雇うくらいなら内容を充実させるとの方針だったのだろう。それでもスピーカーへのケアは十分だった。政策大学…

横須賀リサーチ・パーク

通称「YRP」の名で知られるこの施設、総務省(旧郵政省)の息がかかった施設で、三浦半島の先端近くの丘陵地を切り開いて造られたものだ。過去何回か訪問の機会はあったのだが、どういうわけか縁遠かったところである。そこに今回初めてやってきたのは、「CY…

国際会議のハシゴ

前夜のパーティでもうすでに多くの外国人と会話することになり、脳が腐り始めている。欧州から来ている人の多くは英語が母国語ではないから、まだわかりやすいと思っていたのだが、例外はあるようだ。紹介されたフランス人の英語がさっぱりわからない。ズル…

グランドヒル・市ヶ谷にて

市ヶ谷という駅に降りるのは、たぶん初めて。夕方の込み合う橋の上を、人の流れと逆方向に進む。目的地は、ホテル・グランドヒル・市ヶ谷。この週、本日のレセプションパーティを含めると4日間行われる国際会議の始まりである。普段の国際会議と違うのはこ…

Willard Intercontinentalでのディナー

日米財界人会議という大げさな国際会議、やはりそれなりの公式ディナーは用意されていた。会議の会場は「U.S. Chamber of Commerce」で、ここでのディナーではなくちゃんとしたホテルで、ということだ。近隣には由緒ある「St. Regis」ホテルがあり、運営事務…

日米財界人会議2019(後編)

僕が関わるようになる前のこの会議は、昨日紹介したような「フランクな議論」ができる場ではなかったので、米国参加企業が減っていたらしい。しかし日本企業の役員も国際会議に慣れた人も増えてきて、特にMUFGの平野会長が日本側議長に就いてから雰囲気が変…

日米財界人会議2019(前編)

今回の出張の目的は、3つある。3泊で滞在は2日ということになるが1日目の午後から2日目の午前までを「日米財界人会議」が占めている。その前に1件、現地のサイバーセキュリティ団体の代表と会うのと、その後に日米の産業界数社ずつが集まってサーバー…

出張で身についたもの

ロンドン・カンタベリー4泊6日の今回の出張、いつものデジタル業界の会合とは一味も二味も違うものだった。日米の政府間会合に民間として参加したこともあるが、どうしてもデジタル分野とその周辺の話題ばかり。今回のように、エネルギーから安全保障まで幅…

大聖堂を眺めてディナー

ケント大学での議論は、ロンドンから移動した日の午後から丸2日。僕が短いスピーチをするセッションは2日目の夕方だった。それが終わるまでは緊張していて、日英の有識者たちが英語で議論するのをただただ聞いていただけ。朝食も昼食も会議室隣のレストラ…

カンタベリーのケント大学

日本大使公邸でたっぷり日本食を食べさせてもらった翌朝、朝食バイキングはなるべく控えめにした。僕は朝食付きのホテルは好きではないので、コンビニかスーパーで買ってきたサンドイッチなどで済ますことが基本。それなのに今回は、朝から晩まで全部セット…

日本製のジン「六」

英国政府のレセプション・パーティの後、バスの向かった先は駐英日本大使公邸。もう暗くなりかかっていて、ハイドパークまで戻ってきたことまでは分かるが、その後どういう道を行ったのか覚えていない。気づくと古い町並みではなく、瀟洒な高級住宅街をバス…

自制心崩壊の危機

ロンドン滞在となったこの日、結局やったことといえばレセプション・パーティばかりだった。伝統ある会議で日本から政治家や有識者がやってきたというので、英国政府も駐英日本大使館もいろいろ便宜を図ってくれたのだ。とはいえ英国政界はジョンソン首相が…

羽田空港のVIPルーム

真夏が戻ってきたような暑さのなか、今日は上着を抱えて羽田空港までやってきた。なぜ上着が必要なのかというと、僕には珍しい公式行事のある会合に出席する出張だからである。また予報によると、行く先の最高気温が20度に届かない日もありそうだからでもあ…

日本人ばかりの国際会議

初めてトルコの地を踏み、ボスポラス海峡を眺めることになったのは、ここで開かれる国際会議に参加するため。Conradの大ホールに入りきらない350人もの参加者のほぼすべてが日本人。配られる資料も表示されるスライドも、講演者の語りも日本語だ。 会議の名…

G20デジタル分野での議論(4/終)

あの3首脳(左からトランプ先生、安倍総理、習大人)が肩寄せ合ってカメラに向かった映像は、正しくはG20本会議前に行われた「デジタル経済に関する首脳イベント」。これは非公式な会合で、「信頼性のある自由なデータ流通、WTOにおける電子商取引に関する…

G20デジタル分野での議論(3)

例えば中国は「Secure Free Flows of DATA」を主張し、DATA流通に国家の関与を求めた。これに前議長国アルゼンチン、前々議長国ドイツが猛然と反発、結局「Ensure Free Flows of DATA」という表現に落ち着いたという。このような細心の文言調整(しかも英語…

G20デジタル分野での議論(2)

つくば市で行われたG20貿易デジタル大臣会合の議題は、 ・DATA Free Flow with TRUST(通称:DFFT) ・ガバナンスイノベーション(デジタル活用などに関する規制改革) ・人間中心のAI(あくまで人間がAIを使うということ) ・デジタルセキュリティ(ベス…

G20デジタル分野での議論(1)

あるところで、B20やG20の成果について直接合意文書のとりまとめにあたった人たちから話を聞くことが出来た。分野をデジタル経済に絞ったもので、聴衆はほぼ全部インターネット経済系の人たちである。霞ヶ関の人によると、2016年高松でG7デジタル大臣会合を…

狙撃に最適な屋上

「U.S. Chamber of Commerce」での会議は、日本人だけの朝食会合ののち本番に入った。まず1時間、日米の産業界同士の意見交換。テーマは、国内で議論しているのとほとんど変わらない。 ・「Free Flows of DATA with TRUST」の実現に向けて産業界はどうする…

中国が迫られる「デジタル開国」

いよいよ今月日本が初の議長国を務めるG20大阪サミットが開催される。来週には、僕にも縁の深い「貿易デジタル大臣会合」がつくば市で行われる。デジタル分野の争点は、どうしても「Cross Border DATA Flows」になるだろう。昨年のG20でも、「Great Fire Wal…