Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

キャピトル東急「ORIGAMI」(後編)

 霞ヶ関のキャリア官僚は、2年をめどに異動する。今回内閣府の「まち・ひと・しごと創生本部」に異動したという知りあいは、自らの事を「行商公務員」と卑下していた。本籍は総務省だが、前職は郵政関係の団体。なかなか本省に戻れないことを憂えているのかもしれない。


     f:id:nicky-akira:20190512045701p:plain

 今日のランチのお相手は2人とも経産省が本籍だが、エネルギー、通商、ICT、内閣府や外務省等への出向などいろいろなキャリアを積んでいる。僕も企業の中では2~5年に一度職場を変えているが、ICT分野からみから外れたことはない。
 
 昔はICT政策とは狭義のICT産業(コンピュータ製造業、SIer、通信キャリア等)をどうするかと言うものだったが、昨今は幅広い産業や行政にも大きな影響を与える政策となってきた。エネルギー産業もICT活用が進んでいるし、国境を渡る電子商取引が日常的なものになって、デジタル通商も大きなテーマである。そんなわけで、話題は重要インフラへのサイバー攻撃にどう対処するかや、デジタル通商における税制などの考え方に及んだ。
 
 そのうちに「あいつはどうしている」など経産省の共通の知人の話題も出てくる。中に何人か、僕の知っている人もいるが、通商・エネルギー系の人はなじみが薄い。その話題の間に、せっせとサラダをつつき、コーンスープをすくってなめていた。

    f:id:nicky-akira:20190512045804p:plain

 やがてメイン料理が運ばれてきた。シックカットの豚ロースのソテーにマッシュポテトが付いている。小さなル・クルーゼには野菜の炊き合わせが入っていた。シックカット豚そのものも歯応えが良くジューシーなのだが、それにに掛かっているハッシュド・ブラウンソースが美味しい。マッシュルーム他キノコ類の薄切りなどが入っていて、ある意味秋を感じさせるテイストである。
 
 キャピトル東急のメインダイニング、さすがのお味だった。コーヒーだけでも1,000円を超えるお値段だから、このランチコース(前菜・メインにドリクが付きます)も3,200円と高価。でも場所が便利なので、また来ることになるでしょう。よろしくお願いします。

キャピトル東急「ORIGAMI」(前編)

 霞ヶ関界隈の人とランチをすることになり、選んでもらったのがキャピタル東急ホテルロビーのレストラン「ORIGAMI」。何度か来たことはあるが、もっぱらティータイム。今日は本格的にランチコースと言われて、いそいそとやってきた。とはいえ前の会合が新宿三丁目であり、時計とにらめっこしながら丸ノ内線に乗った。


         f:id:nicky-akira:20190512045346p:plain

 キャピトル東急は、衆議院議員会館や首相官邸の西側にあたり、地下鉄国会議事堂前駅の上にある。国会議事堂駅は、丸ノ内線、千代田線のほか、南北線、銀座線(溜池山王駅)も入っている複雑な駅だ。
 
 キャピトル東急の地下に直接入ってくるのは千代田線だが、丸ノ内線はちょっと遠い。このあたり、下手をすると同じ駅構内でひと駅分以上歩かされたりするから要注意である。遅れてはいけないので、赤坂見附駅で向かいの銀座線に乗り換え、溜池山王駅で下車。微妙だがこちらの方が早そうだ。ホテルの入っているビルの地下2階に着いて、エスカレーターで上ると三菱総研の受付がある。
 
 もう一階上ってようやくホテルの入り口に着く。そこから専用エレベータに乗ってロビー階に。ロビーには、付近にある日枝神社の神輿が飾られていて、「夏祭り」気分を盛り上げてくれる。そこでようやくレストランの入り口へ。予約のむねを告げて、席に案内してもらった。そのうちに3人が揃って、メニューを見ることに。いろいろな選択肢があったが、僕はサラダを前菜に、ポークソテーをメインに選ぶことにした。

    f:id:nicky-akira:20190512045433p:plain

 案内してくれた人は、今は民間だが元々は霞ヶ関の人。僕とは大きく年代も違わないが幅広い経験をもっておられるので人脈も広い。今日のゲストも昔の部下だったという。今回の異動で、IT関係の部署に来たので紹介をしておこうと言われたのが今回のランチである。まずは多くの野菜をあしらったサラダとコーンスープが運ばれてきて、ナイフ・フォークを動かし始める。
 
<続く>

新自由主義者と言われても

 今週の日曜討論は、大学生の現状課題に関するものだった。「COVID-19」騒ぎで通常ではない学生生活を余儀なくされ、

 

・入学したのに未通学

・サークルはもちろん、就職活動も制約

・経済的に学業を続けられないケースも

 

 などの課題に文科大臣や評論家、大医学教員、学生らが意見を述べていた。最後に、大学入試について公明党が提唱している「受験生・浪人生に2万円」の話もでた。総じて「教育に対する政府の支援が足りない、あれも、これも」と言う話だった。教育分野に限らず、「COVID-19」の特殊事情だとは言え、政府支出を膨らませる話ばかりなのが日本の現状。

 

    f:id:nicky-akira:20201018110946j:plain

 

 これはOECD諸国押しなべてそうで、米国で「サンダース現象」が起きているのがその象徴だ。「政府にカネがあるなら、気前よく配れ」というのがその主張。すでに日本も「大きな政府か小さな政府か」ではなく、「大きな政府かもっと大きな政府か」の選択肢しかない政治状況になっている。それゆえBI(Basic Income)なども考えなくてはと、僕も思い始めていた。しかし先週読んだ渡部昇一著「歴史の鉄則~税金が国家の盛衰を決める」で、バラマキ政策は絶対悪だということを思い知らされた。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/10/18/000000

 

 「政府が大きくなれば、国民が小さくなる」というその主張に、目からウロコが落ちる思いだった。経済を回し発展させていくのは国民なのであって、その(儲ける)自由を保証するのが政府の役目、全国民一律収入の10%を税金として徴収し、税収の範囲内で政策を実施せよとある。累進課税などは嫉妬のなせる業、と一刀両断。

 

 本書は英国病から持ち直した「サッチャー改革」を例に挙げているが、現実にはOECD諸国全般にわたって大きな政府指向、冒頭にあるような政府支援の要求の高まりが見られる。特に日本については有名な投資家ジム・ロジャースが、自分が10歳の日本人なら30年後の破滅を見る前に今すぐ国を出ると警告している。彼も「政府支出の大胆なカット」が必須との意見だ。

 

 今となってはこの考え方に近い政党は「維新の会」しかなく、まずは大阪都構想の成功を祈りたい。菅総理も信条的に「維新」に近いと言われ、少しでも「歴史の鉄則」を具現化して欲しいものです。たとえ新自由主義者と言われても、僕は支持しますよ。

マダ沈マヌヤ、定遠ハ?

 先週ノルウェー沖の海底で、ドイツ海軍の軽巡洋艦カールスルーエ」が発見されたことを紹介したが、今度は極東である。日清戦争当時の沈船、戦艦「定遠」の装甲板が引き上げられたという記事があった。

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3306245

 

 「定遠」は清国海軍の戦艦、同型艦の「鎮遠」と並んで「東洋一の堅艦」と呼ばれた。ドイツ製で装甲艦「ザクセン」をベースとし、これを上回る戦闘艦は東洋にはなかったからだ。

 

定遠

排水量 7,144トン

・最大速度 14.5ノット

・装甲 最大355mm

・兵装 305mm砲連装2基4門、150mm砲2門、57mm速射砲2門、47mm速射砲2門、37mm砲8門、魚雷発射管3門

・艦載艇 3隻

 

 典型的な前ドレッドノート型戦艦(正確には装甲艦)で、浮かぶ砲塔群のような船である。雑多な砲が積んであってどう役割分担していたのか分からない。日本海軍はこれに対抗して、「三景艦」という防護巡洋艦を3隻建造した。その1隻が「松島」。

 

◇松島

排水量 4,217トン

・最大速度 16ノット

・装甲 最大75mm

・兵装 320mm砲1門、120mm速射砲12門、47mm砲6門、37mm5連装砲2門、魚雷発射管4門

 

    f:id:nicky-akira:20201007120040j:plain

 

 両海軍の主力艦たるこの5隻は黄海海戦で闘うのだが、「松島」艦上で重傷を負った兵士が副長を呼び止め「まだ定遠は沈みませんか」と聞いたというのが、美談として伝わり軍歌にもなった。「松島」にも305mm砲弾は命中していたのだが、日本側の320mm砲弾は1発も当たらなかった。それでもこの海戦に日本側が勝てたのは、速射砲の威力だったという。「定遠」は早々に艦橋を破壊され、沈まなかったものの引き揚げざるを得なくなった。後に威海衛で雷撃され、戦闘不能となって自沈する。

 

 中国政府はこれらの海戦から列強侵略が始まるとして「屈辱の歴史」と捉えてきたが、昨年夏に「定遠」の沈没場所が分かると潜水調査を始めた。艦内にアヘンがはびこりろくに戦えなかったとの噂があったが調査ではアヘンは見つからず、乗員の多くが艦内で闘って死んだという。この報道自身正確かどうかは分かりませんが、再び海洋進出を企画する今、国民の意識高揚にはつながると考えたのでしょうね。

三都物語

 維新の会は一旦はあきらめた「大阪都構想」実現に向けて、二度目の住民投票にこぎつけた。前回僅差で破れ、橋下市長が政界引退をしている。今回も敗れれば、松井市長は政界引退するという。前回反対の公明党が賛成に回り、自民党共産党がタッグを組んで反対を叫ぶなど、面白い戦いが始まった。れいわ新選組は反対で参戦、警察の制止を振り切るゲリラ演説を山本代表が行っている。

 

 ただ大阪に縁のない僕には、どうも争点が見えてこない。大阪府大阪市の二重行政や対立が問題というが、今は両方とも維新の会が知事・市長を占めていて、もっとソフトな協力体制構築も可能なように思うのだが。

 

 「都」になって大阪市が4つの「区」に分割されるとしても、ガバナンスは大阪府から利きやすくなるとはいえ、二重であることに変わりはない。市に利権が渦巻いていて無駄遣いしているというなら、もう少しその辺をストレートに教えて欲しいと思う。住民の反対の声を聴くと、税収が「都」に集中して「区」はおこぼれで生きていく羽目になるのではと恐れている。

 

    f:id:nicky-akira:20201013113313j:plain

 

 もうすこし東に来ると「中京都構想」というのもあった。現在の大村愛知県知事が第一期の選挙で主張していた。やはり政令指定市名古屋市を解体していくつかの「区」とするもの。知事はトリエンナーレ事件などでリコール騒ぎにも巻き込まれていて、今は元気がないのかもしれない。しかし、名古屋市長と仲の悪い今こそ初心に返って「都構想」というのもありかと思う。

 

https://bunshun.jp/articles/-/40847

 

 さらに東に来て先達の東京都だが、こちらでは「政府直轄案」が飛び出した。提案者はメディアには叩かれ放題の東洋大竹中教授。「COVID-19」対策で東京都が独自の施策を打ち出せたのも、十分な内部留保あってのこと。隣県の知事が「ウチにはあんなカネはない」と嘆いていたのを思い出す。目標は多分この「資産」で、都を政府直轄にしてこれを有効活用しようということだろう。

 

 そういえば今年の都知事選の時竹中先生が、「重要な争点である都の資産民営化が語られていない」と言っていた。反竹中論者からは「何を寝言いっている」との批判もあったが、やはり「資産」はあるようだ。ただワシントンDCのような直轄地にするには、東京都はちょっと規模が大きすぎますかね。あちらは精々100万都市ですよ。