Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

顕著になった人手不足

 3カ月前に避暑に来た時も、いくつかのホテルが建設中で「活況」を呈していた函館の中心街である。その駅前ホテルも、2つがいよいよ12月初頭にOpenする。さらに大型のホテルが2つ建設中、また空港バスの終点が知らないホテルの名前になっていて、ある記事に載っていた「函館高級ホテル戦争」は激化しているようだ。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/09/02/140000

 

 インバウンド需要をどれほど当て込んでいるかは知らないが、こうも急激にホテルのキャパシティを増やして運営ができるのか不安になった。そうでなくてもこのポテンシャルの高い街に対して、僕らが不満/不安に思っているのが飲食店従業員の質である。いい雰囲気のお店で料理も美味しいのだが、接客に<?>が一杯付くところが目立つのだ。

 

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 「食べログ」の評価を見ても、美味しい(4.0)というものがあれば、店員が乱暴(2.0)というコメントもある。多分両方とも正しいのだろう。人手不足が顕著になってきたなと思ったのが、今回ディナーで行った「はこだてビール」での経験。10年以上昔からよく通ったところで、函館山の伏流水を使ったクラフトビール始め、バリエーションの多いお酒メニューが気に入っていた。

 

 ところが今回行ってみると・・・食べ物メニューも少なくなっていたし飲み物も「焼酎」とだけしか書いてない。しかも注文はタブレットだ。まあデジタルデバイドではないつもりなので、おつまみ3点盛りやししゃもなどは注文できたのだが、味気ないことおびただしい。あとで「焼酎」は「喜多里の薩摩芋」ということで頼んで、とても美味しかったのでいいのだが・・・。

 

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 このお店の売りはもう一つ、一日二回のライブ演奏だ。ピアノとヴァイオリンのトーク付きのショウだが、それには文句はないとしてここはビールなどお酒を呑ませるところ。アトラクションよりは、いいお酒をいい気分で飲んでもらう場所だと思った。

 

 この傾向は僕は「錯誤」だと思う。この錯誤が街全体のものでないこと、人手不足を解消してサスティナブルな街を作り上げる方向に行ってもらえること。これを。たまにしか来ることができないけどこの街が大好きな僕としては、ご検討いただきたいと思うのですが・・・。

ド・ゴールの誇り

 第二次大戦であっけなく敗れ去った陸軍大国フランス。今回は、その戦車部隊を紹介したい。第一次大戦で勝利はしたもののおびただしい犠牲者を出したため、国内には「二度と戦争をしない」という空気が満ちていた。かといって、軍備を怠るわけではない。抑止力あっての平和であることは、多くの国民が理解していた。
 
 では、どのような軍備をするのかで議論が沸騰。結局仮想敵国であるドイツとの国境に、長い要塞線を築くことになった。いわゆる「マジノ線」である。軍事予算のかなりの部分が、この建設に充てられた。その分、機動戦力たる戦車をはじめとするAFVの予算は十分ではなかった。

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 開戦1年未満で降服してしまったため、その後の改良は全くと言っていいほどない。開戦時準備されていた車両を見ていこう。右から順に、
 
ルノーFT-17戦車
 兵装:短砲身75mm榴弾砲、同軸機関銃(火力4)
 装甲は極めて薄い(正面1・側面他0)
 移動速度:5ヘクス/ターン
 
 先の大戦の遺物に、75mm砲を積んだもの。これは榴弾砲であり、徹甲弾は撃てない。もともと75mm砲を載せることには無理があり、砲弾搭載数も少ない(丸付きのB11という数値は、サイコロ2個振って11以上の目が出たら弾切れになることを示している)。おそらく活躍することはなかっただろう。
 
◆R35戦車
 兵装:短砲身37mm砲、同軸機関銃(火力2)
 装甲は当時としては、まずまず(正面4・側面他4)
 移動速度:8ヘクス/ターン
 
 同時期の各国の戦車(例:97式中戦車)と比較すると、装甲は優位だが速度が不十分である。これは、フランス軍が機動戦を意識せず、陣地戦にとらわれていたことの顕れと思う。加えて、短砲身37mm砲ではいかにも非力。
 
◆B1-bis戦車
 兵装:短砲身75mm砲、47mm砲、車体機関銃(火力1)、同軸機関銃(火力2)
 装甲は厚い(正面8・側面他6)
 移動速度:11ヘクス/ターン
 
 重戦車である。車体に取り付けられているので正面しか撃てない75mm砲は、敵の陣地など固定目標を狙うためのもの。対戦車戦では、回転砲塔上の47mm砲を使うことになっていた。装甲が厚い割には速度はまずまず。しかし強力なエンジンを積んだせいか、大きな図体をしている。もうひとつの欠点は(日本軍戦車の項で指摘したが)回転砲塔が一人用で、車長が砲手と装填手を兼務していること。砲塔の回転速度も遅く、ちょこまかと動き回る目標を捉えるのは難しい。やはり機動戦には向いていない。
 
◆ソミュアS35戦車
 兵装:47mm砲、同軸機関銃(火力2)
 装甲はまずまず(正面6・側面他4)
 移動速度13ヘクス/ターン
 
 第二次大戦におけるフランス軍の最良戦車。上記一人用砲塔の問題は残っているが、対戦車戦を十分に勝ち抜ける仕様になっている。
 
 のちにフランス大統領になるシャルル・ド・ゴール大佐は、ドイツのグーデリアン将軍らと並んで戦車を用いた機動戦、電撃戦を主張していた。彼は大戦初期、S35戦車隊を指揮してドイツ軍と互角に渡り合った。その後国防次官・陸軍次官・准将に昇進して前線から離れたが、フランス降伏後の自由フランス軍を率いたことは、周知の通りである。

アイコン「ごみ箱」の効能

 「桜を見る会」の参加者名簿の件そのものは、僕にとっては「どーでもいい話」である。昨今参加者の人数が膨らんできて「焼き鳥1本食べられなかった」という話も聞く。だからこの件で国会が空転しているのは、困ったことだと思っているだけだ。

 

 しかし野党議員がシュレッダーを見学しているうちは良かったのだが、名簿のデジタルデータに話が及ぶと完全に無視もできなくなってきた。以前紹介したように、デジタルデータを完全に消去することは難しい。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/12/04/060000

 

 神奈川県が業務に使っていたサーバーのハードディスクが、処理を委託された業者の倉庫から盗まれるという事件もおきた。容疑者はデータを盗んだのではなく、物理的な記憶装置を盗んで転売したのだが、結果としては市民の納税情報などが流出した疑いが濃く、そちらの「罪」の方が問題視されている。

 

 「桜事件」の方では、廃棄した文書が復元されたものが公文書かどうかの議論が始まった。政府は「災害で失われたものを復旧させたら公文書だが、正式に廃棄されたものを復旧しても公文書(原本)ではない」としている。

 

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 これはデジタル屋の眼から見ると、おかしな話である。同じビット列のデータであれば、原本(と一緒)だし公文書として扱うべきだ。もともとデジタルデータはどれだけでも同じものが作れるので、原本も控えもない。データには所有権もなく、このデータは誰がどういう目的でなら使っていいという「利用権」があるだけだ。

 

 この政府見解を延長させていくと、当該組織が一旦廃棄したデジタルデータ(文書)であるなら、何らかの形で復旧されたものは組織として無視していいということにならないか。神奈川県のケースなら、正規に業者に消去指示をしたのだから何が漏れ出てきても「廃棄済み」と言えるわけだ。

 

 昨今民間企業も(個人)情報漏洩には悩んでいるのだが、組織として一度「ごみ箱」に入れて廃棄したら、「元に戻す」操作を誰かがしても知らぬ存ぜぬでいいことにならないか。僕なら民間企業に対し、

 

 ・GDPR違反等のリスクのある文書は、一旦「ごみ箱」に入れましょう。

 ・どうしても必要になったら、「元に戻す」をすればいいのです。

 

 とコンサルティングしてしまうでしょうね。だって日本政府のお墨付きですから。

北新地を食べる

 今回の大阪出張、けっこう慌ただしいものだったが、現地の人たちとランチだけはゆっくり食べることができた。新しい京阪電車の路線も通り、ずいぶん便利になった印象である。中之島周辺は再開発がかなり進み、大きなビルが陸続と連なっている。その多くはオフィスビルだから、この周辺で働く人の数も急増しただろう。

 
 そんな人たちも昼食場所を探すのは、丸の内や汐留同様一苦労らしい。中之島には何本も橋がかかっていて、その北側は「北新地」という繁華街。そちらに足が向くのは必然かもしれない。堂島川一本渡っただけで、近代的なオフィス街から昔ながらの歓楽街に変身するところが面白い。
 
 ペンシルビルと呼ぶにはそれほど高くないビルが林立していて、そのほとんど全部が雑居ビル。昼間だったから目立たないが、ビルの側面に店の名前を記したネオンサインも一杯見ることができる。狭い路地にもカンバンが張り出していて、夜に来たらいかにも呼び込みに声をかけられそうな雰囲気だ。
 
 連れて行ってもらったのは、とあるビルの2階の「五郎」という屋号のお寿司屋さん。混み合っているけれどカウンターなら4人は入れると言うことで、さっそく席に着いた。白木のカウンターは8席ほど。奥の座敷に2~3の4人がけ席があるようだ。
 
 カウンターの奥では40歳くらいの兄さんがひたすら寿司を握っている。お茶を運んできたのは奥さんらしい、ランチメニューは握りかちらしの2種類だと言う。いずれも1,000円。注文を受けると、兄さんが4枚皿を並べ最初の握りを各々の皿にのせたあと、バーナーを持ち出して軽くあぶった。そのあとは、びっくりする速さで寿司が並んでいく。まずサラダが運ばれてきて、しばらく待って寿司皿、最後に椀が来た。

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 椀の中身はニュウメンが入ったお吸い物、なかなか繊細な味(かつおだし?)である。ワカメとキノコが少し入っていた。ネギトロ巻きが2個、タマゴ、ミル貝、ハマチ・・・以下8カンの握りが並ぶ。最後のものがあぶったサーモンで、少しシャリの粘りが強すぎる感じがしたがどれもなかなかの味だった。印象的だったのは、中央にあるイカの握り。明太子を添えたようで、ピリカラ風味が光っていた。ランチ握りらしく1個1個のご飯は多めである。
 
 大阪と言えばバッテラを代表とした押しずしだが、北新地では江戸前握りずしのお店も多いようだ。連れて行ってくれた現地の人も、一人は東京からの単身赴任者。まあ、こうやって文化は混ざり合っていくのよね・・・と思いながら、大阪らしいものも今後も味わいに来ますよ。ごちそうさまでした。

大阪よ、大阪よ(後編)

 午前中の堂島での会合はANAクラウンプラザホテルの側のビル、一流ホテルをしのぐ大きさ美しさだった。京阪の新線ができていたこと、車両もきれいになっていたことも併せて、大阪も変わったなと感じていた。さて、午後の会合の場所に向けて天満橋駅から大阪城公園にむけて歩いていくと、道の南側は再開発中、そして北側は・・・昔のままだった。

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 急に昭和が帰ってきたようなレトロなビル、大阪の政府合同庁舎である。訪ねたのは近畿経済産業局、「経済産業省の関西支社」のようなところだ。東京の霞ヶ関では古いビルも残っているが、合同庁舎2号館や霞ヶ関コモンゲートなど、高層で近代的なビルも増えてきた。
 
 しかしここ大阪には、まだその流れが来ていないようだ。もちろん、民間がボロ屋に住んでいるのに、公共施設ばかりが立派というのでは困るのだが。ビルの中も薄暗く、執務室もゴチャゴチャしている。まあ、書類が溢れているのは本家である霞ヶ関も同じ。会合は無事終わり、また天満橋駅に戻った。それにしても大阪はやっぱり水の都、駅の名前にやたら「橋」が目立つ。今度は中之島線に乗って、大江橋を越え渡辺橋まで行く。
 
 渡辺橋駅も真新しい。地下改札から地上に出ることなく、目的の中之島フェスティバルホールビルに入ることができた。このビルも新しく、近代的な造り。前面ガラス張りの明るいエレベーターに乗って、高層階まで行った。ここからは、大阪駅を指呼の距離に見ることができる。ただ、歩いていくとなると割合距離があることは分かっている。

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 会合を終えた後は、中之島の日銀を眺めながら少し歩いて淀屋橋駅まで戻って地下鉄に乗り、新大阪駅に向かいました。久し振りに街中を歩いた大阪、新旧入り交じった街の特徴は磨きがかかったようです。御堂筋沿いの商店街のゴチャゴチャ感も楽しいので、また来ますよ、きっと。